デンマークに住むバムスは13歳。親友のアントンが,ユダヤ人という理由だけで,デンマークを占領したドイツ兵に迫害され,収容所へ連れ去られようとしている。
「アントン,これからどうしたらいいの? もう,だれを信用したらいいのかわからないよ」
アントンは僕を見て,手をさしだした。「バムス,オレたちはおたがいを信用できるじゃないか」僕たちはまじめに友情の握手をかわした。アントンの目をみれば僕をあきらめさせてはくれないことはわかった。でも,だからこそ面倒なことがおきるであろうこともわかった。
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