指揮者を志した筆者は,スクーターとともに船でヨーロッパに渡る。さまざまな土地を回り,師に出会い,音楽と向き合った日々をエネルギッシュにつづったエッセー。
その時にぼくは堅い決心をしたのだ。オーケストラがだめなら,せめてぼく一人だけでもヨーロッパに行こうと。外国の音楽をやるためには,その音楽の生まれた土,そこに住んでいる人間,をじかに知りたい。とにかくぼくはそう思った。もちろん青二才のぼくに大金のあるはずはないが,多少の金さえ持っていれば,あとは日本のスクーターでも宣伝しながら行けば,ぼく一人くらいの資金は,捻出できるのではないかと思うようになった。
(18ページより)
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