こんなにフェアでファウルな日は,はじめてだ! 万年最下位の仙醍キングスの監督が不慮の死を遂げた日,熱烈なキングスファンの両親のもとに一人の男の子が産まれる。この子がたどる運命とは。
今はまだ,弱小球団で構わない,と。どんなに連敗を続けても,どんなに屈辱的な試合を経験しても,耐えていれば,それでいい。二人はそう思っている。意識の射程はもっと遠い場所に置かれていた。
仙醍キングスはいずれ,変わる。ある一人の選手が入団し,大いなる変化を遂げるのだと確信していた。ある一人の選手,もちろん,おまえのことだ。
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