明治時代に日本を訪れ,日本を愛し,島根県の松江に住んだラフカディオ・ハーンは,日本名を小泉八雲と名乗った。小泉八雲が発表した,怪談・奇談ものや日本文化を西欧に紹介した作品が収録されている。
顔に雪が降りかかるので,巳之吉は目をさました。小屋の戸は押し開かれていた。雪明りで,中に一人の女が――全身まっ白な女のいるのが見えた。女は茂作のうえに身をかがめ,息を吹きかけた――息はきらきら輝く白い煙のようであった。ほとんど同時に,女は巳之吉のほうへ振り向いて,彼のうえへかがみこんだ。彼は,叫び声をあげようとしたが,声をたてることができなかった。
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