画像提供:株式会社D&Dピクチャーズ ダイオウイカは生物界最大(さいだい)級の無脊椎(むせきつい)動物といわれている。深海域(いき)に生息しているため,生きたダイオウイカをとらえた写真や映像(えいぞう)などの資料(しりょう)はとても少ない。体色が赤色系(けい)である理由は,赤色が見えにくくなる深海で目立たないようにするためとも,深海生物に多く見られる白色や透明(とうめい)の体色になる程(ほど)十分には深海に適応(てきおう)していないからともいわれている。 もっと詳しく イカは浅瀬(あさせ)から深海、熱帯(ねったい)から極(きょく)域(いき)まで世界中の海に生息している。種類(しゅるい)は発見されているもの(学名が付(つ)けられているもの)だけで約(やく)500種(しゅ)。 ダイオウイカは背骨(せぼね)を持たない無(む)脊椎(せきつい)動物で、軟体(なんたい)動物のなかの頭足類(とうそくるい)に属(ぞく)し、スルメイカやヤリイカなどと同じツツイカの仲間(なかま)に分類(ぶんるい)される。これまで大西洋、太平洋、インド洋など世界中の海から種名(しゅめい)の異(こと)なるダイオウイカが報告(ほうこく)されているが、1857年に西大西洋で発見されたという記録(きろく)が一番古い。 近年生物の遺伝子(いでんし)情報(じょうほう)を調べる研究(ゲノム解析(かいせき))が進んだ結果(けっか)、世界中のダイオウイカは1種(しゅ)のみであるとされ、学名は最(もっと)も古い「アーキテウティス・ダックス」に統一(とういつ)された。ただし、遺伝子(いでんし)的(てき)には同一種(どういつしゅ)でありながら、外形の変異(へんい)が大きいことが謎(なぞ)として残(のこ)されている。 ダイオウイカの体色は基本(きほん)的(てき)に背側(せがわ)が赤褐色(せきかっしょく)系(けい)、腹(はら)側(がわ)が白銀色。これは比較(ひかく)的(てき)浅(あさ)い海にすむ生き物が、捕食者(ほしょくしゃ)に見つかりにくくするための特徴(とくちょう)的(てき)なパターン。さらにダイオウイカは、深海に適応(てきおう)したイカでは退化(たいか)している「墨(すみ)袋(ぶくろ)(すみぶくろ)」(敵(てき)から襲(おそ)われたときに吐(は)く墨(すみ)をためる袋(ふくろ))を有していることから、現在(げんざい)ダイオウイカは深海への適応(てきおう)に向かう進化の途上(とじょう)段階(だんかい)であるとも考えられている。 ダイオウイカは、隠(かく)れる場所のない深海で敵(てき)から食べられないように大きくなったという説(せつ)がある。最大(さいだい)サイズは1996年に見つかった全長14.3mという記録(きろく)が正確(せいかく)だが、腕(うで)を含(ふく)めた全長が18mという古い記録(きろく)もある。 ダイオウイカは10本の腕(うで)のうち、非常(ひじょう)に長い2本の触腕(しょくわん)を伸(の)ばして獲物(えもの)を挟み込(はさみこ)むようにして捕(と)らえ、残(のこ)りの8本の腕(うで)で獲物(えもの)を抱(かか)え込(こ)んで食べる。生息域(せいそくいき)は主に水深600~1000m付近(ふきん)。味は、実際(じっさい)に食した感想に「イカの味は有るが、えぐみや渋(しぶ)み、アンモニア臭(しゅう)が強く食用には向かない。」というものがある。 しかしダイオウイカは、その繁殖(はんしょく)方法(ほうほう)、産卵(さんらん)場所、寿命(じゅみょう)など、いまだ多くが謎(なぞ)に包(つつ)まれている。 photo by T. Kubodera(Curator Emeritus, NMNS) photo by T. Kubodera(Curator Emeritus, NMNS) 参考リンク※下記は外部サイトにリンクします 私の研究―国立科学博物館の研究者紹介―「みんなが聞きたいダイオウイカの話」 トピックスリスト
画像提供:株式会社D&Dピクチャーズ ダイオウイカは生物界最大(さいだい)級の無脊椎(むせきつい)動物といわれている。深海域(いき)に生息しているため,生きたダイオウイカをとらえた写真や映像(えいぞう)などの資料(しりょう)はとても少ない。体色が赤色系(けい)である理由は,赤色が見えにくくなる深海で目立たないようにするためとも,深海生物に多く見られる白色や透明(とうめい)の体色になる程(ほど)十分には深海に適応(てきおう)していないからともいわれている。
もっと詳しく イカは浅瀬(あさせ)から深海、熱帯(ねったい)から極(きょく)域(いき)まで世界中の海に生息している。種類(しゅるい)は発見されているもの(学名が付(つ)けられているもの)だけで約(やく)500種(しゅ)。 ダイオウイカは背骨(せぼね)を持たない無(む)脊椎(せきつい)動物で、軟体(なんたい)動物のなかの頭足類(とうそくるい)に属(ぞく)し、スルメイカやヤリイカなどと同じツツイカの仲間(なかま)に分類(ぶんるい)される。これまで大西洋、太平洋、インド洋など世界中の海から種名(しゅめい)の異(こと)なるダイオウイカが報告(ほうこく)されているが、1857年に西大西洋で発見されたという記録(きろく)が一番古い。 近年生物の遺伝子(いでんし)情報(じょうほう)を調べる研究(ゲノム解析(かいせき))が進んだ結果(けっか)、世界中のダイオウイカは1種(しゅ)のみであるとされ、学名は最(もっと)も古い「アーキテウティス・ダックス」に統一(とういつ)された。ただし、遺伝子(いでんし)的(てき)には同一種(どういつしゅ)でありながら、外形の変異(へんい)が大きいことが謎(なぞ)として残(のこ)されている。 ダイオウイカの体色は基本(きほん)的(てき)に背側(せがわ)が赤褐色(せきかっしょく)系(けい)、腹(はら)側(がわ)が白銀色。これは比較(ひかく)的(てき)浅(あさ)い海にすむ生き物が、捕食者(ほしょくしゃ)に見つかりにくくするための特徴(とくちょう)的(てき)なパターン。さらにダイオウイカは、深海に適応(てきおう)したイカでは退化(たいか)している「墨(すみ)袋(ぶくろ)(すみぶくろ)」(敵(てき)から襲(おそ)われたときに吐(は)く墨(すみ)をためる袋(ふくろ))を有していることから、現在(げんざい)ダイオウイカは深海への適応(てきおう)に向かう進化の途上(とじょう)段階(だんかい)であるとも考えられている。 ダイオウイカは、隠(かく)れる場所のない深海で敵(てき)から食べられないように大きくなったという説(せつ)がある。最大(さいだい)サイズは1996年に見つかった全長14.3mという記録(きろく)が正確(せいかく)だが、腕(うで)を含(ふく)めた全長が18mという古い記録(きろく)もある。 ダイオウイカは10本の腕(うで)のうち、非常(ひじょう)に長い2本の触腕(しょくわん)を伸(の)ばして獲物(えもの)を挟み込(はさみこ)むようにして捕(と)らえ、残(のこ)りの8本の腕(うで)で獲物(えもの)を抱(かか)え込(こ)んで食べる。生息域(せいそくいき)は主に水深600~1000m付近(ふきん)。味は、実際(じっさい)に食した感想に「イカの味は有るが、えぐみや渋(しぶ)み、アンモニア臭(しゅう)が強く食用には向かない。」というものがある。 しかしダイオウイカは、その繁殖(はんしょく)方法(ほうほう)、産卵(さんらん)場所、寿命(じゅみょう)など、いまだ多くが謎(なぞ)に包(つつ)まれている。 photo by T. Kubodera(Curator Emeritus, NMNS) photo by T. Kubodera(Curator Emeritus, NMNS)
イカは浅瀬(あさせ)から深海、熱帯(ねったい)から極(きょく)域(いき)まで世界中の海に生息している。種類(しゅるい)は発見されているもの(学名が付(つ)けられているもの)だけで約(やく)500種(しゅ)。 ダイオウイカは背骨(せぼね)を持たない無(む)脊椎(せきつい)動物で、軟体(なんたい)動物のなかの頭足類(とうそくるい)に属(ぞく)し、スルメイカやヤリイカなどと同じツツイカの仲間(なかま)に分類(ぶんるい)される。これまで大西洋、太平洋、インド洋など世界中の海から種名(しゅめい)の異(こと)なるダイオウイカが報告(ほうこく)されているが、1857年に西大西洋で発見されたという記録(きろく)が一番古い。 近年生物の遺伝子(いでんし)情報(じょうほう)を調べる研究(ゲノム解析(かいせき))が進んだ結果(けっか)、世界中のダイオウイカは1種(しゅ)のみであるとされ、学名は最(もっと)も古い「アーキテウティス・ダックス」に統一(とういつ)された。ただし、遺伝子(いでんし)的(てき)には同一種(どういつしゅ)でありながら、外形の変異(へんい)が大きいことが謎(なぞ)として残(のこ)されている。 ダイオウイカの体色は基本(きほん)的(てき)に背側(せがわ)が赤褐色(せきかっしょく)系(けい)、腹(はら)側(がわ)が白銀色。これは比較(ひかく)的(てき)浅(あさ)い海にすむ生き物が、捕食者(ほしょくしゃ)に見つかりにくくするための特徴(とくちょう)的(てき)なパターン。さらにダイオウイカは、深海に適応(てきおう)したイカでは退化(たいか)している「墨(すみ)袋(ぶくろ)(すみぶくろ)」(敵(てき)から襲(おそ)われたときに吐(は)く墨(すみ)をためる袋(ふくろ))を有していることから、現在(げんざい)ダイオウイカは深海への適応(てきおう)に向かう進化の途上(とじょう)段階(だんかい)であるとも考えられている。 ダイオウイカは、隠(かく)れる場所のない深海で敵(てき)から食べられないように大きくなったという説(せつ)がある。最大(さいだい)サイズは1996年に見つかった全長14.3mという記録(きろく)が正確(せいかく)だが、腕(うで)を含(ふく)めた全長が18mという古い記録(きろく)もある。
ダイオウイカは10本の腕(うで)のうち、非常(ひじょう)に長い2本の触腕(しょくわん)を伸(の)ばして獲物(えもの)を挟み込(はさみこ)むようにして捕(と)らえ、残(のこ)りの8本の腕(うで)で獲物(えもの)を抱(かか)え込(こ)んで食べる。生息域(せいそくいき)は主に水深600~1000m付近(ふきん)。味は、実際(じっさい)に食した感想に「イカの味は有るが、えぐみや渋(しぶ)み、アンモニア臭(しゅう)が強く食用には向かない。」というものがある。 しかしダイオウイカは、その繁殖(はんしょく)方法(ほうほう)、産卵(さんらん)場所、寿命(じゅみょう)など、いまだ多くが謎(なぞ)に包(つつ)まれている。