やく6,600万年前,巨大きょだい隕石いんせき衝突しょうとつによる地球環境かんきょうの大変動へんどう原因げんいんで,恐竜きょうりゅうなどの大型爬虫類おおがたはちゅうるいとともにアンモナイトは絶滅ぜつめつしたと考えられている。このほかにも,大規模だいきぼな火山活動や気候変動きこうへんどうなどによって過去かこ5回ほど,生物の大量絶滅たいりょうぜつめつが起きたと推測すいそくされている。現在げんざい6回目の大量絶滅たいりょうぜつめつが起きている可能性かのうせいがある。その原因げんいんは,人間の活動による地球環境かんきょうへの影響えいきょうと考えられている。

もっと詳しく※東京書籍 高等学校理科用教科書「生物」より引用

大量絶滅

化石を調べることにより地球上の生物の変遷へんせん歴史れきしを知ることができる。過去かこ5おく年の間に,少なくとも5回(オルドビス紀末きまつ,デボン紀末きまつ,ペルム紀末きまつ三畳紀末さんじょうきまつ白亜紀末はくあきまつ)の大きな生物相のわりが起きたことが明らかになっている。これは比較的ひかくてき短期間に多数のしゅ絶滅ぜつめつした事件じけん,すなわち大量絶滅たいりょうぜつめつが起こったことを意味している。
過去かこに起こったもっとも大きな規模きぼ大量絶滅たいりょうぜつめつ古生代こせいだいペルム紀末きまつに起きた絶滅ぜつめつとされている。
これは古生代こせいだい中生代ちゅうせいだい境界きょうかい(P-T境界きょうかい)にあたり,三葉虫さんようちゅうをはじめ古生代こせいだいの代表する多くの生物種せいぶつしゅ絶滅ぜつめつしている。海生生物のうち最大さいだい96%,すべての生物種せいぶつしゅでみても90%から95%が絶滅ぜつめつしたと考えられている。この時期には酸素さんそ濃度のうど低下ていかしており,大量絶滅たいりょうぜつめつ重要じゅうよう要因よういんとなったと考えられている。この絶滅ぜつめつの引き金となった原因げんいんはまだ特定とくていできていないが,超大陸ちょうたいりくパンゲアの形成けいせいにより,巨大きょだいなマントルの上昇じょうしょう流であるスーパープルームが起こり,大規模だいきぼな火山活動が原因げんいんであるという仮説かせつが出されている。
中生代ちゅうせいだい新生代しんせいだい境界きょうかいである白亜紀末はくあきまつにも大量絶滅たいりょうぜつめつが起きている。恐竜きょうりゅう絶滅ぜつめつした時期であり,アンモナイトの絶滅ぜつめつもこの時期である。この絶滅ぜつめつ原因げんいんとしては,巨大きょだいいん石が地球に衝突しょうとつし,火災かさいふんじんで太陽光がさえぎられたため,気温低下ていかが起きたというせつが有力である。白亜紀はくあき古第三紀こだいさんき地層ちそう境界きょうかい(K-T境界きょうかい)には,全世界的に共通きょうつうして,うす粘土ねんどそう分布ぶんぷしており,そこからは全世界的に高濃度のうどのイリジウムが検出けんしゅつされる。イリジウムは,いん石には多くふくまれているため,K-T境界きょうかいのイリジウムは地球に衝突しょうとつしたいん石によって全世界にばらまかれたと考えられ,いん石の衝突しょうとつ原因げんいんというせつ根拠こんきょとなっている。ほかにはインドにおける溶岩ようがん噴出ふんしゅつあとから,この時期に大規模だいきぼな火山活動が起こり,大量絶滅たいりょうぜつめついたったというせつもある。
それでは,このいん石はどこに衝突しょうとつしたのであろうか。メキシコのユカタン半島北西部にあるチクシュルーブ・クレーターが注目されている。このクレーターは,現在げんざい堆積たいせき物の下にあり,直径ちょっけいやく180kmの馬蹄形ばていけいをしており,やく6550万年前にできたものである。クレーターの大きさと形から,直径ちょっけいやく10kmの巨大きょだいないん石あるいは小惑星しょうわくせいが南東の方向からひくい角度で衝突しょうとつしたと推定すいていされている。白亜紀末はくあきまつ大量たいりょう絶滅ぜつめつ原因げんいんかんしては,いん石衝突説しょうとつせつのほかにも仮説かせつが出されている。その1つとして,ペルム紀末きまつ絶滅ぜつめつと同様に,火山活動が原因げんいんであるというせつがある。このせつ根拠こんきょとしてインドにおける溶岩ようがん噴出跡ふんしゅつあとから,大規模だいきぼな火山活動が白亜紀末はくあきまつに起こったことが推定すいていされている。これにより大量絶滅たいりょうぜつめつにいたったというせつであるが,同時期のイリジウムそう形成けいせい説明せつめいすることが現時点げんじてんでは困難こんなんである。
大量絶滅たいりょうぜつめつが起きたあとは,新たな生物種せいぶつしゅ誕生たんじょうして急速な生物多様性せいぶつたようせい回復かいふくが起きている。
これは,大量絶滅たいりょうぜつめつびた生物群せいぶつぐんの中から,空いた環境かんきょうへの適応てきおう放散ほうさんが起きているためであり,たとえば,白亜紀はくあきから古第三紀こだいさんきにかけては,多様な恐竜きょうりゅうめていたさまざまな環境かんきょう哺乳類ほにゅうるいによってめられていった。
現在げんざい,6回目の大量絶滅たいりょうぜつめつが起きているのかもしれない。人間の活動により地球環境かんきょう改変かいへんされ,多くのしゅ生存せいぞんおびやかされている。地質学的ちしつがくてき時間では非常ひじょうに短い過去かこ400年間で,1000しゅ以上いじょうの生物が絶滅ぜつめつしている。国連こくれんのミレニアム生態系せいたいけい評価ひょうかによると,現在げんざいの生物の絶滅ぜつめつの速度は過去かこ最高さいこうであり,化石記録きろくでみられる絶滅ぜつめつりつの100~1000倍の速度で絶滅ぜつめつしていると推定すいていされている。