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やく5おく4,000万年前,カンブリアの海では酸素濃度さんそのうどが高まり,生物の多様化が一気に進み,動物種が爆発的ばくはつてきえ,海綿かいめん動物や棘皮きょくひ動物,脊索せきさく動物,節足せっそく動物など,現在げんざい地球に存在そんざいする動物群どうぶつぐん原型げんけいがほぼ全て出現しゅつげんしたといわれている。カンブリアの海は多種多様たしゅたような生物であふれ,大型おおがたの肉食動物(アノマロカリスやウミサソリなど)が君臨くんりんしていた。

もっと詳しく※東京書籍 高等学校理科用教科書「生物」より引用

海中での多様化

最初さいしょ多細胞たさいぼう生物があらわれたのはやく10おく年前のせんカンブリア時代じだいと考えられている。およそ6億5千万おく5せんまん年前のせんカンブリア時代じだい末期まっきになると,多細胞たさいぼう生物が数多く出現しゅつげんし始めた。オーストラリア南部のエディアカラで見つかった生物群せいぶつぐんはその代表的なものである。このエディアカラ生物群せいぶつぐんは,現生げんせいのクラゲのようなやわらかい体をしており,まだ運動能力のうりょくなどは高くなかったと考えられる。これらの生物群せいぶつぐん現生げんせい生物群せいぶつぐんと大きくことなっており,その類縁関係るいえんかんけいはよくわかっていない。
およそ5おく4千万せんまん年前から始まる古生代こせいだいカンブリアになると,海水中の酸素濃度さんそのうどはさらに高まり,生物が呼吸こきゅうを行ううえで有利ゆうり環境かんきょうができあがった。また,体のかた組織そしき発達はったつさせるために必要ひつようなカルシウムイオンが海水中で豊富ほうふになった。こうした環境変化かんきょうへんかとともに,海中で多数の多細胞たさいぼう動物が誕生たんじょうし,軟体なんたい動物,環形かんけい動物,節足せっそく動物,棘皮きょくひ動物など,現在げんざいみられるほとんどの動物門が出現しゅつげんしたが,現生げんせいのものとは大きくことなる動物もみられた。この時期の大形動物の急速な多様化は「カンブリア大爆発だいばくはつ」とばれている。カナダのロッキー山脈さんみゃくのバージェスとうげ近くから見つかったバージェス動物群どうぶつぐんとくに有名で,三葉虫さんようちゅうをはじめ,大形の肉食動物であるアノマロカリスや,現生げんせいのナメクジウオにたピカイアなど,現在げんざいでは絶滅ぜつめつした動物の化石が多数見つかっている。
カンブリア出現しゅつげんした海生無脊椎むせきつい動物は,カンブリア紀末きまつにはほとんど絶滅ぜつめつした。
オルドビス紀末きまつに入ると,あさい海では,ウミユリ(棘皮きょくひ動物のなかま),オウムガイ,腕足類わんそくるい現生げんせいのシャミセンガイのなかま)など多数の生物種せいぶつしゅが生息していた。デボン石炭紀せきたんきには,あさい海に多数生息していたウミユリが,多量たりょう集積しゅうせきしウミユリ石灰岩せっかいがん形成けいせいした。魚類ぎょるいではシーラカンスやサメなどの軟骨魚類なんこつぎょるい出現しゅつげんした。三葉虫さんようちゅうはシルル以降いこうには種類数しゅるいすうが少なくなり,一部は体を丸めることによって捕食者ほしょくしゃ攻撃こうげきから身を守るものが出現しゅつげんした。古生代後期こせいだいこうき石炭紀せきたんき,ペルムには大形有孔虫ゆうこうちゅうのなかまであるフズリナるいあさい海に繁栄はんえいした。
古生代こせいだいの海でさかえた三葉虫さんようちゅうなどの動物群どうぶつぐんは,その多くが古生代こせいだいの終わりに絶滅ぜつめつした。これは地球上で何度か起きた大量絶滅たいりょうぜつめつのなかで最大さいだいのものであり,酸素濃度さんそのうど低下ていか原因げんいんであると考えられている。一方,アンモナイトの祖先そせん絶滅ぜつめつまぬがれ,中生代ちゅうせいだい繁栄はんえいをとげることになる。