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恐竜きょうりゅうとともに絶滅ぜつめつしたと考えられてきたシーラカンスが1938年に南アフリカのカムルナ川おきで発見された。シーラカンスは地球上の生物にいくどかおとずれた大量絶滅たいりょうぜつめつ危機ききのがれて,環境かんきょう変化へんかが少ない深海でひっそりとびていたのだ。なぜ太古より姿すがたえないのか,そしてその生態せいたいもいまだなぞつつまれている。

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シーラカンスは古代デボン紀に出現しゅつげんしたシーラカンスもくの魚類の総称そうしょう。古生代デボン紀に出現しゅつげんし、淡水域たんすいいき浅海域せんかいいき幅広はばひろく生息したと考えられ、多くの化石種が知られている。
シーラカンスの体長は1~2mと人間に近い大きさで、寿命じゅみょうは60年から100年と言われている。ひれは一般いっぱん的な魚類より多く8まいあり、魚類というよりは両生類に近い身体構造こうぞうをしている。くだ状の脊柱せきちゅう背骨せぼねの代わりを果たし、むなびれとはらびれは、ほねほね筋肉きんにく支持しじされている。浮袋うきぶくろには空気の代わりに脂肪しぼうが満たされ、海中で数百メートル上下移動いどうすることにもえられる。動きは緩慢かんまん普通ふつう岩陰いわかげなどに体をただよわせているが、近くに来た魚を素早すばやむ。繁殖はんしょく方法は体の中でたまごをかえして稚魚ちぎょを生む「卵胎生らんたいせい」だが、交尾こうびの方法はわかっていない点が多い。
絶滅ぜつめつしたと考えられていたが深海でびていたシーラカンスは、基本きほん的な特徴とくちょうが古生代中頃なかごろから現在げんざいまで変わらないことが化石からわかっており、このことが「生きている化石」と言われる所以ゆえんとなっている。