もっと詳しく※東京書籍 高等学校理科用教科書「生物」より引用
動物の陸上進出
植物が陸上に進出して繁栄したことで,大気中の酸素濃度はさらに高くなり,動物の上陸が可能な状態となった。
デボン紀末期になると,総鰭類のなかまから,陸上生活をする原始的な両生類が進化した。最古の両生類として知られるイクチオステガは,陸上で呼吸をするための肺と,陸上を歩行するための四肢を発達させていた。また,水中に比べて重力の影響が大きいため内臓を支える役割をもつ肋骨も発達していた。その後の石炭紀は両生類の全盛期となり,多様なグループが繁栄した。両生類の皮膚は鱗に覆われておらず,また受精と胚発生は水中で行われるため,生活の場は水辺に限られていた。この時代の両生類は,魚類のほかに,昆虫やシダ植物を餌とするものが多かったと考えられている。
一方,節足動物でもデボン紀末期になると陸上生活をする昆虫類やクモ類が現れ,石炭紀の地層からはゴキブリや,広げた翅の長さが80cmにもなる巨大なトンボの化石も見つかっている。この時代は温暖で酸素濃度が高かったと考えられている。
ハチュウ類の繁栄
古生代の石炭紀に,両生類からハチュウ類が進化した。その後,中生代になるとハチュウ類が大繁栄した。ハチュウ類は地上で繁栄した恐竜だけでなく,水中には魚竜,空中には翼竜などが出現し,地球上のあらゆる環境に進出していった。ハチュウ類は体表に厚い鱗をもち,体内受精を行い,卵殻の中で羊膜と呼ばれる胚を包む膜が発達して胚が羊水中で発生するようになった。こうした性質により完全な陸上生活が可能になった。恐竜のなかには,群れで行動したり,巣をつくって子育てをしたりするものもいた。また,羽毛が生えた肉食恐竜も見つかっており,体温保持の役割があったと考えられている。中生代の終わりになると,2億年もの長期にわたって繁栄した大形ハチュウ類はほとんど絶滅した。またこれと時を同じくして,海中ではアンモナイトが絶滅しており,地球規模での環境変化が起きたと考えられている。その原因として,地球に衝突した巨大いん石による地球環境の大変動が挙げられているが,まだ定説とはなっていない。
鳥類と哺乳類の繁栄
鳥類は小形の肉食恐竜から進化したと考えられている。鳥類とハチュウ類の中間的な形質を示す始祖鳥は,中生代ジュラ紀の化石として発見されている。始祖鳥には,現生の鳥類にはなく,ハチュウ類にはある前肢(翼)の先端の指,歯,長い尾骨などがある一方で,羽毛が前肢や尾にみられる。しかし,強力な翼筋をつけるための幅広く大きな胸骨は発達していないため,飛行能力は高くなかったと考え られる。現生鳥類の直接の祖先は,化石の記録などから白亜紀中期に出現したと考えられている。鳥類は新生代になって大発展をとげた。 哺乳類の祖先は,中生代の三畳紀に出現していたが,中生代の終わりまでは小形で,あまり多様化していなかった。白亜紀になると,現在の有袋類(カンガルーなど),単孔類(カモノハシなど),有胎盤類(有袋類と単孔類以外の哺乳類)の祖先が現れた。白亜紀の終わりに恐竜などの大形ハチュウ類が絶滅して新生代になり,寒冷化や乾燥化が進むにつれ哺乳類は大発展をとげ,地球上のさまざまな環境に適応していった。哺乳類の特徴である体毛は体温保持の役割を果たし,また,乳腺は子育てに使われる。